LIVゴルフの賞金、1位は2試合で9億円以上~1試合あたりPGA賞金王シェフラーの4.5倍を稼ぐ


2022年、世界のゴルフ界は「LIVゴルフ」という黒船の到来によって激動の1年となっている。

歴史と伝統を誇る4大メジャー大会の優勝者を始め、世界のトップランカーたちが続々とLIVゴルフへ移籍。

LIVゴルフは、2022年6月9日にロンドンで開幕戦が行われ、10/30までに全8試合が予定されているが、毎試合開催の前週にビッグネームのサプライズ参戦が恒例となっており、PGAをはじめとする従来ツアー陣営は「次にLIVに行くのは誰か?」と戦々恐々としている。

世界最高峰の米国男子ツアーの選手たちがLIVゴルフに引き寄せられてしまう最大の要因。

それは「破格の賞金」に他ならない。

一体どれほど稼げてしまうのか?

まずは、米国男子ツアーとLIVゴルフの賞金ランキングTOP10(2022年7月21日時点)を見ていこう。

PGAツアーとLIVゴルフの賞金を比較

PGAツアーとLIVゴルフの2022年、賞金ランクTOP10比較表 ※クリックで拡大

PGA賞金ランキングTOP10

米国男子ツアーの賞金ランキング1位は、2022年のマスターズを制覇したスコッティ・シェフラー。17試合に出場し、合計:約18億円(7/21のドル円レート138.5円で計算)を稼いでいる。

2位に全英オープンを制したキャメロン・スミス(約14億円)、3位に今期2勝のローリー・マキロイ(約11億)がランクインしている。

その他、2度目の全米プロ選手権を制したジャスティン・トーマスが5位(約9億円)、全米オープンを制したマシュー・フィッツパトリックが9位(約8億円)など、メジャー優勝者は全員がTOP10入りしている。

また、今期2勝の松山英樹も10位(約8億円)に堂々のランクイン。残りのツアーでも活躍が期待される。

LIVゴルフ賞金ランキングTOP10

続いて、LIVゴルフの賞金ランキングを見ていこう。

1位は第2戦ポートランドの個人優勝を果たしたブランデン・グレイス。LIVゴルフは、まだ2戦しか開催されていないにも関わらず、その賞金総額は何と9億円を超えている

2位は、2011年のマスターズも制したチャール・シュワーツェル。こちらもたったの2試合で7億円以上を稼ぎ出している。

3位は、ヘニー・デュプレシで約4.6億円。あまり馴染みのない選手かもしれないが、なぜ彼がここまでの賞金を稼げているのか?

その秘密は「個人賞金」以外に用意された「チーム賞金」にある。TOP3は全員が南アフリカの選手で、2試合ともに同一チーム「スティンガーGC(GCはゴルフクラブの略)」に所属しているのだ。なお、チーム賞金については、詳しく後述する。

4位にはご存知のダスティン・ジョンソン(約4億円)、5位には前述のスティンガーGCのキャプテンで2010年の全英オープンチャンピオン:ルイ・ウーストヘイゼン(約3.5億円)と続いている。

1試合平均の獲得賞金でLIVがPGAを圧倒、最大4.5倍の差

前記の表を再掲しよう。

1試合平均でみると、PGA賞金王のスコッティ・シェフラーが約1億円になっているのに対して、LIVゴルフ賞金王のブランデン・グレイスは、4.5億円を超えている。

上記表で1試合あたりの獲得賞金数が最も低い10位のサム・ホースフィールドでも1億円を超えており、賞金獲得効率はPGAの賞金王と同レベルであることが分かる。

賞金額だけじゃない~「賞金獲得確率」も雲泥の差

PGAからLIVへの移籍が止まらない理由は賞金額だけではない。

賞金獲得の確率も雲泥の差がある。

PGAツアーの出場人数は大会にもよるが、約150人前後。出場選手の約半数は予選カットとなり、予選落ちとなれば殆どの場合、賞金は得られない。

一方のLIVゴルフは、1試合につき48人(12チーム×4人)しか出場できない。しかも最下位の48位でも12万ドル(約1,650万円)が得られるのである。

資金源が非難されることも多い謎の新生LIVゴルフに、なぜ歴史と伝統を誇るPGAのトップランカーたちが移籍してしまうのか?

その答えがお分かりいただけたかと思う。

日本男子ツアーとLIV出場の日本人選手の賞金比較

LIVゴルフには、第1戦のロンドンに谷原秀人選手、木下稜介選手、香妻陣一郎選手の3選手が出場した。

続く第2戦のポートランドには、稲森佑貴選手も加わり4選手が出場。

日本人4人によるチーム:トルクGCが結成された。

そこで、PGAとLIVゴルフの比較に続き、日本プロゴルフのJGAツアーの賞金とLIVゴルフの賞金についても比較も行ってみた。

結果は以下の通りである。

2022年7月21日時点のJGA賞金王は、全英オープンにも出場した比嘉一貴選手(約5,700万円)。

一方、LIVゴルフに参戦している日本人4人のうち最も賞金を稼いでいるのは香妻陣一郎選手で、その額なんと1億3,000万円を超えている。出場はたったの2試合である。

1試合平均の獲得賞金差は10倍以上となっていることに加え、ツアー権を剥奪(正確には停止)されてしまうPGAとは違い、JGA所属選手たちはLIVゴルフに参加しても今のところ何のペナルティもない。

PGAを主戦場としている松山英樹選手を除き、「日本人選手でれば誰もが参加したい夢のツアー」が突然登場してしまったのだ。

LIVゴルフの賞金設定はどのようになっているのか?

LIVゴルフが他ツアーから敵対視され問題視されているのは、その資金源が9.11テロを首謀したビン・ラディンや実行犯がいたサウジアラビア王国の政府系投資会社:PIFであることは既に多くの人が知っているだろう。

では、これだけ巨額の賞金は毎試合どのように選手たちに分配されているのだろうか?

詳細は以下の通りに設定されている(7/21のドル円レート138円で計算)

2022年LIVゴルフの賞金内訳表

個人賞金とチーム賞金

最終戦を除く第1戦から第7戦までは、毎試合:総額2,500万ドル(34億5,000万円)が用意されている。

このうち2,000万ドル(27億6,000万円)は個人戦に割り当てられており、1位:5億5,200万円、2位:2億9,325万円、3位:2億700万円。以下上記の表の通りで、最下位48位でも1,656万円となっている(順位タイの場合は合計金額を均等分け)。

個人戦に加え上位3チームには「チーム賞金」も用意されている。1位のチームには一人当たり1億350万円、以下2位5,175万円、3位1,725万円。

シーズンチャンピオン賞金

第1戦から第7戦までのトータル上位3人(最低4試合の出場が必要)には、シーズンチャンピオン賞金(総額3,000万ドル)が用意されている。

  • シーズン1位:24億8,400万円
  • シーズン2位:11億400万円
  • シーズン3位:5億5,200万円

チーム賞金ではなく、選手1人がもらう金額だ。あまりの金額の大きさに目を疑ってしまう。

最終戦チャンピオンシップのチーム賞金

最終第8戦は、10/27~マイアミのトランプナショナルドラルゴルフクラブで開催されることが決まっている。

チーム順位に応じてチーム戦のマッチプレイで3日間のトーナメントが予定されており、全12チームに総額5,000万ドルが用意されている。

最終戦マッチプレイ プレイオフ対戦表

優勝チームには、1人あたり5億5,200万円、3位以上で1億円以上の賞金が用意されている。

最下位でもチーム1人あたり3,450万円となっており、決勝が行われる10/30を持って2022年のLIVゴルフは幕を閉じることとなる。

第2戦終了時の全LIV出場選手の賞金ランキング

LIVゴルフの賞金システムはお分かりいただけただろうか?

最後に第2戦終了時点でのLIVゴルフ賞金ランキングを公開しておきます。

LIV毎試合後に更新していきますので、TwitterフォローもしくはLINE友達登録を是非お願いいたします。